こだわりの強いお父様のお式をお手伝いしました。
このお父様の実家はお寺様でした。お寺を継いだのは他の兄妹。
自分は新屋として家を建てて生活しておりました。
連れ合いが亡くなったとき、
親戚のお寺様を呼び、
お経を頂かれたそうです。
すると、急に仏教に興味が沸き、
自分の生家がお寺であることもあり、
独学で勉強を始められたそうです。
葬儀社にも何度も足を運び、
「自分の葬式はこうして欲しい」と
ぎっちり書かれた要望書を何枚も渡し、
仏壇の引き出しには同じ要望書と共に
自分でお経を書いた色紙数点や、
辞世の句など、
たくさんのものを準備されました。
その中に、お寺を呼ばずに皆さんでお経をあげて欲しいという言葉がありました。
私はご不幸が発生してから、その要望書を拝見しました。
そして息子様夫婦とお会いし、打ち合わせを行いました。
息子様夫婦は、そのご不幸に対する悲しみと共に、
どうやって自分たちでお経をあげ、
お式をしたら良いのかという不安でいっぱいでした。
私はご案内しながら一つずつ解決していこうと考えました。
床の間に掛け軸が掛けてありました。
故人の写経でした。
私はその掛け軸と、故人が大事にしていたという仏像を本尊にして祭壇を作りました。
またお聞きしたところ、故人はかなり絵が上手とのことで、この家の2階には制作部屋があるとのことでお邪魔し、油絵を2点と水彩画を2点お借りし、祭壇脇に飾りました。
さらにこの家には立派な庭があり、その設計や手入れは故人が熱心にしてみえたとのことで、通夜の準備が終わるころ、私は縁側の窓を拭きました。
夜になると、その庭がライトアップされるよう設営しましたところ、皆様とても喜んで下さいました。するとお孫様がお話し始めました。
庭においてある大きな石の上部は子供が乗れるようにしてあり、いつも遊ばせてもらったこと。よくここで遊びながら、アンパンをもらったことなど。
翌日、喪主様が先導し皆様でお経をあげ、お別れをして頂きました。
お柩にはアンパンが一つ手向けられていました。




