故人様はとあるラーメンチェーン店の創業者でした。
今や3人のお子様にお店の経営を任せ、
4人のお孫様に恵まれお仕事はほぼ引退されていました。
それでも、ラーメン一筋。
たまに開店前の店に顔をだしては、仕込みへのダメ出し。
その昔は、大きな鍋に作ったスープをそのまま捨ててしまったこともあったとか。
お子様3名が口をそろえてお話しされました。
「とにかくラーメン一筋。麺やスープのみならず、その丼に至るまでこだわりが凄かった。
好物もラーメンでよくいろんなお店のラーメンを食べに行くのだけれど、どこのお店のでも食べた後にダメ出しをする。時にはお店のど真ん中で大きな声でダメ出しをする。で、最後には自分のお店のものが一番と口にするんです。でも本当に少しずつ味を変えようとするこの熱意は真似できないんですよね。」
「そして褒めない。ラーメンに関して、他店のものもそうですが、自分たちが作ったものも、仕事も褒めない。褒めた言葉を聞いたことがない。笑顔もほとんど見たことがない。一言でいうと“頑固者”でしたね。」
私は、祭壇の前に故人様がこだわったラーメン丼やメニューを飾られたらどうかと提案。
皆様準備され、通夜式を迎えました。
親族と会社の代表の方々が集まったお式になりました。
メニューにある品物一つ、丼一つから故人様とのエピソードがたくさん飛び交っていました。
少し時間が経ち、故人様の柩の近くに、小学生になるお孫様がみえました。
お孫様の中でも一番年長のこの方に私は話しかけました。
そして私は少しこの方と話し込み、ある結託をしました。
翌日のお葬式。
ほぼ家族のみのお葬式となりました。
お寺様のお経を頂いたのちのお別れ。
皆様お花を手向けてお別れされてみえました。
私は小学生のお孫様にあるものを手渡し、手向けて頂きました。

ある有名なメーカーのカップラーメンと

こちらも有名はメーカーの氷菓子。
皆様、「何それ?」と声を上げ不思議そうな顔をしていました。
私は「ちょっと聞いてあげてください」と皆様に声を掛けました。
するとこのお孫様が話をされました。
「毎週土曜日に家に帰ると、毎回お爺ちゃんと二人でお昼ご飯なんだけど、いつもこれだったんだ。いつも笑いながら“おいしいね”ってたべていたんだ。」
皆様「そうだったの!?」と驚かれた様子でした。
ラーメンにこだわり、味にうるさかったこのお爺様が、まさかという展開でした。
また、お子様方が知らず、このお孫様だけが知っていたお爺様の姿。
すべてのお手伝いを終え、私が会社に戻るとき、この小学生と握手しました。
彼が半泣きになりながら言った「ありがとう」が私の最高の報酬でした。



