質問:湯灌って何?病院でやってもらっているものとは違うの?
A:湯灌には儀式の意味合いも含まれるため病院でされていることとは根本的に違います。詳しくはこちらをお読み下さい。
ここ10数年前から湯灌が世の中に浸透したように感じますが、
実は歴史は古く、中国においては600年前後に、
日本においては真言宗の開祖空海が伝えた灌頂(かんちょう)の儀式が起源とも、
鎌倉時代に禅宗の伝来とともに伝わってきたとも言われています。
その昔は川の水を汲みに行くところから作法(二人の者が1列に並んで水を汲みに行くとか、先に汲みに行った者を後から追いかけ声を掛けるなど)があり、
さらに川からの水の汲み方(川上から川下に向け桶をすすませて水を汲む)、
ぬるま湯の作り方(たらいに水を張り、その中にお湯を注ぎぬるま湯を作る)などがありました。
お寺によっては湯灌場という湯灌をする専用の場所もありました。
その中で「逆さ水の儀式」は一番重要とされています。故人様に対し上記で作ったぬるま湯を足下から頭の方へかけていく儀式です。
通常頭から足に向かって流れる水を逆にかけてあげることで、
この世ではなく、あの世の世界に入ったことを故人様に伝えてあげる儀式です。
さらに故人様に水をかけること、水に触れさせてあげることはもう一つ理由があります。
水というものは仏教に留まらず様々な宗派で「聖なるもの」と考えられているようです。
神道で考えると、「悪い気を吸い取ってくれるもの」とも考えられており、
皆様がよく見る光景として相撲があります。
力士が相撲をとる前に水を口に含み、紙に吐き出すのをご覧になったことはありませんか。
これは神聖な土俵で相撲を取るにあたり体の中の邪気を水に吸い取ってもらい身を清めるということなのです。
キリスト教でも「聖なるもの」として考えられる場面で「聖水」が登場します。
海外の古いカトリック教会にはご遺体用の浴槽があるところもあります。
また水は「生命力のあるもの」とも考えられています。赤ちゃんが生まれた時、産湯に浸かります。
これも綺麗にしてあげること以外にも、
今後その子に強い生命力を宿し長生きしてもらうという目的があります。
仏教においての湯灌とはこの発想に近く、「今度生まれ変わってくるときには強い生命力を持って生まれてきて欲しい」という祈りの儀式でもあります。
現在では川の水も使えないことが多いため、
湯灌用の車や機材を使いぬるま湯などの準備を行い、湯灌をしています。
そのため、看護士の方々の中には「故人様をお風呂に入れて、体を綺麗にすること」=「湯灌」という個人の発想から、
病院での清拭(体を拭いてあげること)を「湯灌」と思われている方も多いようです。
が、湯灌は単純に綺麗にしてあげるという作業ではなく、お祈りの儀式の意味もあるのです。
人を弔うことにおいて、
その行為に秘められた思いを知ることも大事な弔いになるのではないでしょうか。




